対話からはじまる行動~~第1回Nagasaki Peace-preneur Forum を振り返って

田中美穂さん

プロフィール
福岡県北九州市出身。核政策を知りたい広島若者有権者の会(カクワカ広島)共同代表。2017年、西南学院大学文学部外国語学科英語専攻卒業後、広島市内の企業に就職。2019年、カクワカ広島に発足メンバーとして参画。現在もメーカー勤務を続けながら、国会議員との面会やSNSでの発信、イベントなどを通じて核問題への関心向上に取り組む。

「対話」と聞くと、つい「話すこと」に意識が向きがちですが、実は「聞き合うこと」こそが対話の本質なのだと教わって以来、意識して実践するようになりました。相手の言葉に耳を傾け、理解しようとする姿勢がなければ、どれだけ言葉を交わしても対話とは言えません。「人それぞれだよね」と片付けてしまえば、それは単なる意見の並列で終わってしまいます。対話とは、相手の言葉に真に向き合い、新たな気づきを得るプロセスだと考えています。

私は広島を拠点に、カクワカ広島として核兵器の問題に関して議員や市民との対話を重ねてきましたが、2024年5月に開催された「Nagasaki Peace-preneur Forum」に参加し、普段とは異なる視点からの対話を体験する機会を得ました。

広島平和記念資料館メモリアルホールでのイベントで発言する田中美穂さん(撮影:中奥岳生さん)

フォーラムでは、「Humanity Needs Us」というセッションのファシリテーターを務めました。このセッションでは、「私たちはどのような人間の安全保障の課題に直面しているのか」「基本的人権を守るために何ができるのか」「世界を変えるためにどう協力すべきか」といった問いを軸に、登壇者や参加者と対話を重ねました。登壇者のJean Linis Dincoさん(フィリピン出身)とSalam Kamushさん(シリア出身)は、共にパレスチナ解放を訴え、humanityを失いつつある世界の矛盾を指摘しながら、それでも変化を起こす力が私たち一人ひとりにあることを強調していました。彼女らの言葉には、現実に根ざした切実な思いと行動の軌跡が込められており、核兵器を支える社会構造の解体を訴える私にとって、お二人の姿勢は強く共感を呼び起こすものでした。

また、このフォーラムでは、核廃絶運動をはじめとする「平和」に携わる人々だけでなく、多様な分野で活躍する参加者との出会いがありました。人権活動家であるJeanさんやSalamさんをはじめ、気候変動やジェンダー問題に取り組む方々、政治家、経済人、メディア関係者、エンジニアなど、多様な背景を持つ人々との交流は、私にとって非常に新鮮な経験でした。こうした異なる分野が交差する場に触れる機会が中々なかった私にとって、今回のフォーラムを通じて、「平和」の概念がより広がり、発展していく可能性を感じたのは大きな学びの一つです。

現在の世界情勢を考えると、対話をすること自体が難しくなっています。昨年と比べても、その状況はさらに加速しているように感じます。こうした現実を思うと、対話は簡単ではないけれど、それでも大事だし、やらなければいけないよね、と言える環境は、実は特権なのかもしれません。だからこそ、私たちはこの機会を最大限に活かし、互いに聞き合い、行動につなげる責任があるのではないでしょうか。Nagasaki Peace-preneur Forumで得た学びを活かし、対話の先にある社会を思い描きながら、行動で応えていきたいと思います。