戦後・被爆80年企画「対話で平和を組み立てる」
筆者 樋川和子さん
プロフィール:
長崎大学核兵器廃絶研究センター副センター長・教授。専門は核軍縮・核不拡散。外交官としてベルリン、ウィーン、ワシントン、バグダッドなどで勤務。2013年8月から2019年12月まで外務省軍備管理・軍縮・不拡散専門官。2019年末に外務省を退職し、大阪女学院大学で教鞭をとる。2021年4月から日本国際問題研究所客員研究員。2024年4月から現職。2024年6月から長崎大学グローバルリスク研究センター副センター長を兼務。

戦後・被爆80年にあたり、核兵器廃絶長崎連絡協議会(長崎県、長崎市、長崎大学の三者が連携して核兵器廃絶に取り組むため、2012年に設立した協議会)は、イギリスのシンクタンクBASICと協力の上、対話を通じた国際的な平和人材育成プロジェクトを立ち上げます。
被爆者の数が年々減少し、一般市民の核兵器の問題に対する関心も年々薄れてきています。そうした中で、このプロジェクトは、これまで行われてきた「記憶の継承」の取り組みを生かしつつ、次世代が更に発展させていけるよう、平和への想像力と共感力を高める対話を通じた長崎発の新たな国際的な平和人材育成プロジェクトとなることを目指しています。
プロジェクトの詳細について随時アップデートしていきますので、お楽しみに!
BASICのウェブサイトはこちらから: https://basicint.org/
BASICはイギリスに所在する独立系非営利シンクタンクです。
その使命は、人類と地球の生態系を核リスクと相互に関連する安全保障上の脅威から世代を超えて守ることにあります。
BASICは、多国間主義、安全保障の不可分性、将来世代への配慮、プラネタリーバウンダリーの尊重を基礎とするグローバルな安全保障のコンセンサスを目指しています。
各国が複雑な戦略的・政治的相違を克服するための手段として、個性的で共感的な対話の場を提供することで高い評価を受けています。1987年以来、BASICは有するネットワークと専門知識により、孤立し敵対する政治コミュニティ間の効果的な交流を促進しています。
BASICのアプローチの特徴:
- 積極的な傾聴。多様な視点に対し共感を持って関与すること。
- 人口統計学的および認知的多様性に基づいた包括的な参加を得ること。
- 広範な背景調査に基づき、繊細な文化認識を取り入れること。
- システム思考と設計を取り入れること。
BASICが重視している価値:
- 誠実さ: 誠実さ、独立性、信頼性が人間関係や組織文化にとって最も重要。
- 共感: 他の視点や立場を純粋に理解しようと努めることで持続可能な解決策を導く。
- 包括性: 組織文化、対話、出版物を通じて人口統計的・認知的多様性を確保。
- 透明性: 目的・方法・資金源において最高水準の透明性を維持。
- 革新: 現代の安全保障課題に対処するための創造的アプローチを考案・適用。